私は、胆嚢腺筋症という病気で、平成2018年5月29日から5月31日まで、四谷メディカルキューブという病院に入院しました(手術は5月29日の午後)。
こちらのページをご覧の方は、「胆嚢腺筋症」あるいは「四谷メディカルキューブ」で検索してこられた方、そして、きっとご自身やご家族の手術や入院に対する不安をお持ちの方が多いと思います。
以下に私の経験談を記載しておきますので、是非参考になさって下さい。なお、以下の文面の文責は、全て井上本人にあり、四谷メディカルキューブや文面に登場する人物に一切責任がないことをお伝えしておきます(念のため)。
(1)入院の経緯
毎年の人間ドックで、私は「胆嚢腺筋症疑」という指摘を受けていました。「疑」だから大丈夫だろう、みたいな感じで軽く考えていて、「胆嚢腺筋症」という病気がどういうものかというのは、手術が決まってから調べ始めたというのが正直なところです。
平成30年2月に受けた人間ドックで、担当医から、「胆嚢の壁が厚くなっていて、4ミリくらいあります。ひょっとして胆石が壁の方へ移動したか(そういうことはあり得ないそうですが)、あるいは悪性の可能性もあるので、一度消化外科で精密検査を受けて下さい。」と言われました。何も知らない私は、「4ミリが厚い」という表現に違和感があったのですが、実は胆嚢の壁は非常に薄いもので、そのため他の臓器にがんが転移しやすい性質があるというようなことは、この時点で私には全く予備知識がありませんでした。
(2)四谷メディカルキューブを選んだ理由
知り合いの薬剤師に相談したら、その人が知り合いの医師に相談してくれて、「症例をたくさん持っているのでここがよいよ」と言われました。結構単純に決めてしまいましたが、実は私が四谷メディカルキューブに迷わずたどり着けたのは大変ラッキーだったように思います。
そうそう、よく考えてみれば、こういう疑いがあるかどうかを調べるのが人間ドックの目的なので、仮にこれで悪性だったら、「人間ドックを受けていて本当によかったね~」ということになります。
(3)初回の受診
4月10日に受診しました。もっと早く受診したかったのですが、なかなか予約が取れなくて、ここが最短でした。病院の待合室で何気なく隣に座ったご婦人と話をしたら、「私なんて3ヶ月よ!」と言っていましたので、なかなか予約が取りにくい(人気のある)病院なのかもしれません。
梅澤先生に人間ドックの結果を見せたところ、開口一番、「コレステロール、高!」と言われました。あの、胆嚢は・・・と思ったのですが、コレステロールの高さがまず気になったようです(また、実際に高かった)。
<参考>
私のコレステロール値(5月23日)
総コレステロール:251
HDL:57
LDL:163
中性脂肪:173
次に、「色々と再検査の指示を受けているけど、受ける気ないの?」と言われました。再検査なんて、受けても一緒じゃね? みたいに軽く思っていましたので、こちらもショック・・・私は、子どものようにシュンとなってしまいました(梅澤先生、ごめんなさい)。
その次に胆嚢の話になり、「この画像じゃよく分からないから、MRIを撮ってみましょう。あと、血液もね。」ということで、その日に血液検査とMRIを撮ることになりました。血液については、前の日にお酒が結構入っていたので、その旨を伝えたのですが、「そうは言ってもそんなに関係ないでしょ!」と意に介せずです。
結果は4月19日に聞きにいくことになりました。
ちなみに、私はいつも「先生」と言われる立場で話をしていますので、その時、「初対面の私に説教してくれた梅澤先生の言うことには、今後全て従おう」と心に決めました。
(4)再検査の結果(4月19日)
血液検査の結果は、やはりコレステロールと中性脂肪が高めで、肝心の胆嚢の方については、以下のような感じで指摘を受けました。
・井上さんの胆嚢は、ひょうたん型に変形しています。(確かに、素人の私が見てもそう見える)
・窪んだ部分の壁が厚くなっています。(確かに、素人の私が見てもそう見える)
・MRIの画像では、悪性か良性かは分からない。(え~~、撮れば分かると思ったのに!)
・手術して胆嚢を取ってしまうというのも手だけど、経過観察という選択もあり。ただし、健康診断で毎年必ず引っ掛かるので、都度MRIを撮る必要がある。
とまあ、簡単に言うと、「悪性か良性かよく分からないけど、取るか取らないかはあなた次第」という感じでした。
MRIは、体に負担がかかるわけではありませんが、何せ面倒なのと費用もそこそこかかるので、これを毎年繰り返すのもな~と思って、私は、「どうせ毎年MRIを撮るくらいなら、手術を受けます。」とその場で梅澤先生に伝えました。
梅澤先生は、私がすぐに手術の決断をするとは思っていらっしゃらなかったようで、一瞬驚かれました。恐らく、
・別の病院に行ってセカンドオピニオンを取る
・家族と相談する
・経過観察を選択する
といった形の選択が普通なんだろうな、という風に思いました。ただ、私自身は、最初に梅澤先生に会ったときに、「この人の言うことは全部聞こう」と決めていましたので、手術で摘出することに迷いは全くありませんでした。それに、セカンドオピニオンを求めて別の病院へ行っても、恐らく同じような検査をして、「う~ん、悪性かどうか分からないね。」という結果が出るだろうなと思ったのです。最悪、これが悪性だったら、もたもたしているうちに病気が進行してしまうじゃないかということも気になりました。
(後日知りましたが、胆嚢がん・胆管がんは、とても予後のよくない病気のようです。)
手術の説明の日と手術の日程がその場で決まりました。ちなみに、この病院を紹介してくれた人からその日の夜に電話があり、この方が親しくしている医者5人に私の症状を伝えたところ、「4人が摘出・1人が経過観察」とのことでした。「胆嚢に異常があるなら、とっとと摘出」というのが、医師の間では普通なのかもしれませんね(分かりませんけど)。
(5)手術の説明
5月23日に再度血液検査を受けて、その結果を元に梅澤先生と話をしました。手術の細かい説明もこの日に受けました。
この時点では、胆嚢あるいは胆嚢腺筋症という病気について、ネットでだいぶ調べていましたので、梅澤先生の説明はそのまま耳に入ってきました。
手術の合併症、偶発症や麻酔の副作用についても説明がありました。出血量は5~10mlだとか、色んな薬についての説明もありました。そうそう、手術を受けるにあたって、腹腔鏡だし少しオナカに穴が開くだけだから、不安なんて全くないわ~とタカをくくっていたのですが、後述のように、実際は意外に大変でした。
(6)手術まで
病院から指示されたのは、
・カゼをひかないこと(←これ、すごく重要です)。熱が出たら迷わず病院に連絡するべきです。手術を受けるとき、かなり体力を使いますので、万全の態勢で臨む必要があります。少しでも不安があったら、病院に連絡を入れた方がよいでしょう。
・手術当日の午前10時までに、「経口補水液」を500~1000ml飲むこと(大塚のOS-1は美味しくないので(←個人的な感想です)、私は 味の素の経口補水液 にしました。りんごジュースみたいで飲み易いです。)
・高額療養費 の 限度額適用認定証 の手配→レセプトは月単位で処理されます(知ってました?)ので、高額療養費のことを考えると、「入院期間が月末をまたがない」ようにするとよいでしょう。(初診→手術前の検査→手術→術後の診察と、いくつか段階がありますが、費用的には、手術前の検査と手術を同じ月に入れるのがよいのではないでしょうか)
・前の日の食事は夜11時まで→かなりユルいルールで助かりますね。私は7時くらいに軽めの夕食を取って、後は水と経口補水液で過ごしました。なお、水分摂取は朝10時まで大丈夫でした。
・おへその掃除→これはかなり重要です。腹腔鏡をへそから入れるので、ここから細菌が入らないようにするためです。「オリーブオイル+綿棒」で掃除するわけですが、私の記憶にある限り、生まれてこのかた、へそを掃除した記憶はありません。つまり、50年以上経って初めてへその掃除するわけです。そしたら、出てくるわ出てくるわ、こんなに溜まっていたのか~~(驚)! という感じです。
といった点です。
あと、個人的にこれをやっておいた方がよいのでは・・・と思うことを書いておきますね。
・鼻をかんでおく→手術が終わって病室に戻ると、しばらく鼻はかめません。なぜなら、鼻をかむという行為は、腹筋に凄まじい力が入り、手術後の体の忍耐力をはるかに超えているものだからです。是非、手術の前に(納得いくまで)鼻をかんでおくようにしましょう。
・かゆいところはかいておく→手術室に入って両手を固定されてしまうと、もはやかゆいところをかくことができません。そのまま全身麻酔に入るのは何だかイヤな気がしたのですが、私は左のホッペタがかゆいまま手術を受けてしまいました。かゆいところがあればかいてもよいですか? と聞くべきでした・・・・。
・水を買う→手術が終わって病室に戻ると、もはや起き上がることはできません。いや、病室に戻って3時間経過すると歩行訓練が始まるのですが、そうそう簡単に歩ける人はいないと思います。私の場合、付き添いがいませんでしたので、水を買っておいて本当によかったです。病院内にも自動販売機はあるのですが、看護師の方にお願いしないといけませんので、水は2本~3本くらい買って冷蔵庫に入れておくとよいと思います。
・すぐに使うものは手の届くところに→携帯電話、IPAD等、すぐに使いたいものは机の上とか、すぐに手の届くところに置いておいた方がよいです(ルータのスイッチを入れるのも大変なので、私はルータのスイッチは入れっ放しで手術室へ向かいました)。あ、付き添いの方がいる場合は、こうした心配は無用ですね。私の場合、家族全員から見放されていましたので(笑)。
・PCの持ち込み→手術翌日は、自由に生活できますので(特に午後以降は快適)、その気になれば仕事もできます。それくらいのツワモノを標榜される方は、是非PCを持ち込みましょう。私は、荷物が少ない方がよいかと思って、IPADにしました。
・くしゃみができなくなる→腹筋を全く使えないので、くしゃみは死ぬほど苦しいです。「くしゃみが出なくなる方法」をサイト検索して、マスターしておいた方がよいと思います(←これは、冗談抜きで重要な情報です!)。
(7)手術当日(5月29日)
11時来院でしたが、私は10時半には病院に着くように行きました。受付で限度額適用認定証を提示して、5階の宿泊部屋へ。看護師の方から詳しい説明があり、1時すぎに手術室へ一緒に行きましょう、ということになりました。
次々と病室に色んな方が来られますので、手術まで、あまりのんびりしている感じはありません。唯一心残りだったのが、「栄養指導を病室で受けてみませんか?(30分2,500円)」というお知らせがあったのですが、これを申し込まなかったことです。
手術の後は、なかなかこうした余裕もないので、申し込むのであれば手術前に、手術の翌日の午後の遅い時間帯あたりで予約をするとよいと思います。
さて、午後1時になると看護師の方が呼びに来られます。エレベーターで4階に降りて手術室へ向かう廊下は、まるで「白い巨塔」に出てくるような感じでした。迎えにこられた看護師の方に「白い巨塔みたいですね」と言ったら、「ちょっと人数が少ないですけどね(笑)」と返されました。
すごくキレイな、そして明るい手術室に入ると、総勢7人くらいいらっしゃったかな、梅澤先生と手術内容について確認すると、すぐに手術台に上がります。やや寒かったですが、手術台に上がると、右手も左手も色々と装着され、
まな板の上の鯉
のようになります( ↓ こんな感じ)。
酸素マスクで酸素を吸っていると、「そろそろ麻酔かけますね、すぐに眠くなりますから」と言われました。そうですね、10秒くらい経ったら、もうぼんやりしてきて、「これ、すごいですね~~」と声をかけたら「そうでしょ、ぼーっとしますよね。」と答えがあり、もう、その後の記憶はありません。手術室に入ってから眠ってしまうまで、多分5分ちょっとだと思います。
さて、手術が終わって、声をかけられました。うっすら目が覚めると手術室ですが、いかんせん周囲を細かく観察する余裕はなく(と言うか、眠くて目が開けられない)、あっと言う間に病室へ。ベッドへ移るときに横に動いて下さいと言われて、何となくズリズリと横へ動き、ベッドに戻りました。
「あ~何とか終わった~」という感じです。部屋を出たのが13時5分くらいで、部屋に戻ったら15時10分でした。手術室には2時間くらい居たことになります。
「乗り越えられましたよ~」と声をかけられて、何とか生きている実感を持ちました。ただ、術後は術後で結構大変です・・・。「腹腔鏡手術だから楽」というのは、もちろんそれはそうなのですが、それはあくまで開腹手術と「比較」しての話であって、臓器を摘出するわけですから、そりゃ大変ですよね・・・。
(看護師の方に後になって聞いたのですが、「腹腔鏡だからと言って、オナカの中でやっていることは開腹手術と変わらない」そうです。そりゃ、痛いわな。)
部屋に戻って感じたのは、まずは傷の痛さよりも「手のしびれ」でした。ただ、色んなものが両手両足に装着されていて、耐えるしかないという状況・・・実は、これが結構キツかったかな。酸素マスクや心電図モニターも付けてますし、オナカにはドレーンと言って、細い管もつながれたままです。足も、エコノミークラス症候群の防止のために、ややキツメのタイツを履いていて、しかもマッサージ機(圧縮するタイプのもの)も装着しているので、あまり自由に動かすことはできません。
次に困ったのは「吐き気」です。麻酔の副作用で当然予想はしていましたが、かなり強烈でした。吐くものがないのに吐き気がするってどういうこと? って感じです。ちなみに私の場合、吐き気は、翌日の昼ごろまで続きました。(ただ、看護師さんに用意して頂いた、吐いた時のためのボールを実際に使うことはなかったです)
それから、どうしても熱が出ているためか、体温調節が上手くいっていないのでしょうね、病室が寒く感じられたり暑く感じられたりで、看護師の方には「1℃上げて下さい」「1℃下げて下さい」「1℃上げてください」「もう1℃上げて下さい」と、エアコンの温度設定を何度もお願いしてしまいました(申し訳なかったのですが、どうしようもありませんでした)。
そうこうしているうちに、3時間経って午後6時に看護師の方が来られ、酸素マスクを外してくれました(1つ身軽になりました)。とともに、「さ、歩く練習をしましょう。」と。え~もう歩けるんだ・・・と思って、ベッドを少し立ててみたら、案の定、強烈なめまいが。慌てちゃだめみたいで、一度下げてしばらくしてまた上げて・・・の繰り返しをして、ようやく立てるようになりましたが、点滴台につかまるのがやっとこさです。内臓が下の方へ動くだけでかなりの痛みが走りますし、そもそも自分の体ってこんなに重かったっけ? みたいな感じです。ヨチヨチ歩きでトイレまでいくことができて、とりあえずほっとしました。
(しんどくても、ここで頑張って動き回れば動き回るほど、体力の回復も早いですので、是非たくさん動き回るようにして下さい。そうは言ってもヨチヨチ歩きですけどね。)
歩くと同時に、水も飲めるようになりました。これはもう、飲むしかないなという感じです。昼すぎから全く水分を取っていないので、体全体が水を欲しがっているのは自分でも分かりました。それに、口の中に管を入れていたこともあって、「早くうがいをしたい」そんな感じです。あと、セキができない(腹筋を使うことは一切できません)ので、タンを上手く吐き出すこともできないんですよね・・・。
さて、熱でしんどい中、テレビを見たり寝たりで時間を過ごすうちに就寝時間を迎えますが、やはり痛みが全く消えず、その間、痛み止めの点滴を何本か打って頂きました。夜も全く痛みが引かず、坐薬を看護師の方に入れてもらいました。
「恥ずかしいので自分で入れます」と言い張ったのですが、中途半端に入れてしまうとこれまた大変なこと(出てきてしまったり)になるらしく、看護師の方もその辺は心得ていらっしゃいまして、「私、プロですから」と仰いました(そりゃそうだ)。
実は、翌日になって気付いたのですが、あの時、自分で坐薬をお尻の穴に入れるのは物理的に不可能ですね。そんな姿勢を取ったら、それこそおなかが痛くて痛くて死んでしまいます(笑)。
こうして手術当日は終わりました。手術の後は、意外に大変です。あ、当日も梅澤先生は病室まで足をお運び頂きました。
(8)手術翌日(5月30日)
起きたら、少し楽になったような気がします。ただ、何度測っても体温が37度台を行ったり来たりで、微熱が続きます。
食事は朝昼晩、全て残さず食べました。8時→12時→18時と結構短いスパンで出てくるのですが、量も多くなく、オナカイッパイ感はありません。どちらかと言うと空腹を感じるくらいです。あ、ここの食事は本当に素晴らしく、ずっと入院していたいと思わせるほどです。変なホテルに泊まるより、よっぽどホテルらしい感じの病室ですよ(笑)。ちなみに、病室の様子は、こんな感じです。
さて、朝の回診で梅澤先生がお見えになられました。総勢8名くらいお連れになられています。まるで白い巨塔の財前教授 ↓
のような感じです(カッコイイ)。
そこで、ドレーンを抜きます。意外に長い管なんだということに気付きました。あれを抜く時は、何だかイヤ~な感覚が全身を襲いますね(別にどうってことはありませんが)。
点滴も心電図モニターも外されて、これで無罪放免といったところです。
シャワーを浴びてもよいですよ、と言われ、早速浴びました。気持ちよいのは気持ちよいのですが、それ以上に移動の痛さが・・・まだヨチヨチ歩きです。
ただ、2日目は、時間の経過とともにどんどん楽になっていきます。ずっとテレビを見てネットで遊び、たまに昼寝して・・・という生活です。熱が上がるとしんどいので寝て、起きたらまたテレビって感じです。
この日も、梅澤先生が病室までお越しになられました。
そうそう、この日の夜は、何とか坐薬なしで大丈夫でした。
あと、昼間に寝すぎたためか、深夜3時くらいに起きてしまい、そこからまたテレビとネット・・・普段と違う生活で楽しかったです。
(9)手術翌々日(5月31日)
普通に起きました。熱と痛み以外に障壁はなくなりましたが、熱も痛みもコントロールしにくいです。熱は徐々に落ちてきますが、この日の朝も37度くらいはありました。痛みについては、ロキソニンを飲むしかありません。
8時半の回診があって、すぐに退院してよいですよ、ということで、9時半には退院の手続きを行いました。入院したと思ったらすぐに退院・・・あっという間の出来事でした。そうそう、痛みが引くかどうか不安だったので、ロキソニンを追加で3日分処方してもらいました。これは正解でした(少しずつ症状はよくなりますが、意外に痛みは長引きます)。
病院を出て感じたこと→みんな、何でこんなに速く歩けるんだろう・・・自分の体重は、何て重いんだろう・・・予想はしていましたが、自宅に帰るまでにすっかり疲れ果ててしまいました。。。それにしても、入院から退院までたったの46時間。よくこの短期間でこんなことができるもんだと医療技術の進歩に感心することしきりです。
この日は、朝食は病院で出された食事を完食しましたが、昼も夜も全く食べられません。食べた方がよいと思いつつ、食欲がないんですよね・・・。また、なぜか「油っこいもの」「お酒」に関する興味が全くなくなってしまっています。これ、多分、胆嚢を摘出したことで、脳が「もはや君は、油やお酒は苦手になってるからね~」というサインを送っているのでしょうね。この日の夜は、実はお酒を口にする機会があったので色んな種類のものを飲んでみましたが、美味しさを全然感じません(実に不思議な話です)。
また、麻酔が原因だと思いますが、まだロレツが回らない状態は続いています。頭で思っていることを口に出そうとしても、上手く言えないのです。ただ、意思の疎通には全く問題はありません。(手術の翌々日までは、話す仕事は入れない方がよいです)
あと、右肩に末梢神経ブロック(局所麻酔)を行ったためだと思うのですが、肩が重く感じるタイミング(肩こりのような感じ)が結構あります。ただ、これもどうしようもないので、放置するしかありません(私の場合、それほど気にはならなかったです)。
(10)手術翌々々日(6月1日)
朝も昼も少しだけ食べました。仕事も普通にやっているのですが、途中で少ししんどくなってきまして、自宅に戻って夕方まで昼寝しました。夜もあまり食べられませんでした。痛みはまだまだ残ります。微熱も継続、くしゃみは論外。
(11)手術4日後(6月2日)
この日は、朝も昼もいっそう食欲が落ちて、昼前くらいからふらふらしてきました。「何かが足りない」と感じ、ハチミツの飴を舐めたりしました。
夜は、もう、こんなんじゃダメ! と思って、ムール貝、アジの刺身、豆腐、サラダ、ハンペン、三つ葉と油揚げの味噌汁、この辺を爆食いしました。めまいは解消しましたが、案の定、すぐに下痢しました・・・やはり、無理はまだまだ禁物のようです。ただ、油ものや肉、それとお酒は、引き続き全く欲しくないです。これで、しばらく禁酒できそうです(と言うか、本当にお酒は要りません)。
そうそう、この日は鼻もかめるようになってきましたし(セキはまだダメ)、熱もあまり気にならなくなってきました。測っていませんが、恐らく平熱に近いところまで落ちてきているように思います。
梅澤先生の指示通り、この日にへその絆創膏をはがしてみました。傷跡は全く残っていません(^^)/ 。それから、ドレーンの跡が少し大きなほくろ、あと2箇所が小さなほくろみたいな感じで、手術の痕跡をわずかに残してくれています。痛みは、一番痛いのがへそで、動くと痛みます。くしゃみはまだかなり厳しく、熱は37度手前くらい、日常生活に全く支障はありません。
とまあ、こんな感じでしょうか。
手術の後は、「どういう姿勢を取ると痛いのか」を早めに自分で認識するのがコツだと思います。「起き上がり方」にしても、色んなやり方がありますから、自分にあったやり方を見つけることができると、その後はだいぶ楽になります。例えば、膝を両手で抱えて、反動を付けて起き上がるとか、です。
それから、手術後は「水」がすごく欲しくなりますね。私は結局、退院までにペットボトル6本の水を飲みました。退院後も水ばかり飲んでいます(何でか分かりません)。
繰り返しになりますが、副作用は意外にキツイので、少しだけ覚悟しておいた方がよいと思います。ただ、手術の日から歩けるというのは、本当に嬉しいことです。
(12)その後(6月16日追記)
体調は至って良く、手術を受けたことすら忘れかけています。わずかに、オナカに力が入ってオヘソの辺りに痛みを感じるときに思い出すくらいです。ただ、手術前と比較して食生活が明らかに変わりましたので、以下に記載しておきます(元々好き嫌いは全くありませんでした)。
●食べたくなったもの → 野菜、味噌汁、納豆、ヨーグルト、刺身(この辺は毎日必ず食べてます)
●食べたくなくなったもの → 肉、卵、チーズ、麺類(ラーメンは、まだ1度も食べてません)
●欲しくなくなったもの → お酒!(6月に入ってまだ3回しか飲んでない! 自宅では全く飲まなくなりました)
なぜこうなったのか全く分かりません。お陰様で体重は手術前と比べて2キロくらい落ちました。また、頑張って食べないと体重が落ちるので、朝ごはんも食べるようになりました。「野菜中心、あと魚、稀に肉」という感じですので、全体的に食べる量自体は少なくなったように思います。
それから、たくさん食べたり、速く食べたりするとすぐに下痢しますので、ゆっくりよく噛んで(一口20~30回)食べるようになりました。何とも皮肉なことに、手術を契機に、どんどん健康体になっていっています(笑)。今のところ、何が体に良くて何が体に合わないのか、自分でも明確に区別できているわけではないのですが、何となく、少しずつ体が術後の生活に慣れてきた感じはしています。
なお、次回の診察は6月19日です。病理検査の結果を梅澤先生から聞くことになっていますので、後日改めて報告します。
(13)病理検査の結果(6月19日追記)
四谷メディカルキューブへ行ってきました。採血の後、梅澤先生の診察でした。摘出した胆嚢の写真も見せて頂きました(これ、見ても気持ちよいものではありませんね・・・)。また、病理検査の結果は、悪性ではありませんでした。予想はしていましたが、コレステロールも100くらい下がっていました(嬉)。多分、この調子だと、中性脂肪も下がってるんじゃないかな。先生は肝臓の数値を見ていらっしゃるようですが、特段の問題はなかったです。一応、治療はこれで終了ということになりました。やれやれ、一安心です。
そうそう、数値が良くなったのは、恐らく、食生活がガラッと変わったことが大きいのだと思います(野菜が本当に好きになって、ウサギのような生活をしていますので)。フラフラするのも、そのうち体が慣れてくるでしょう、とのことでした。
それにしても、私の胆嚢は普通の人よりも少し小さかったようで、それがひょうたん型に変形って・・・私の胆嚢くん、54年間も一生懸命頑張ってくれたんですね。本当に感謝です。
胆嚢摘出の手術を受けたことがよかったのかどうなのか、それは私には分かりません。ただ、専門のお医者様が精密検査の結果を診ても悪性か良性か分からない、毎年MRIを撮らないとダメという判断をする一方で、胆嚢を摘出しても普通に生活ができるということなら、摘出しか選択はないよねと、私は考えました(損切りは早い方がよいですよね)。また、今、早く食べたりたくさん食べたりすると下痢をするということは、これまで体に余計な負担がかかっていたのではないかという風に思います。
きょうのお昼は、退院後初めて麺類(うどん)を食べました。少ししんどいかな? と感じましたが、何とか食べられました。日々、体が食べ物に順応していこうとしているのが自分でも分かります。これからは無理しないで、ゆったりとした生活を送りたいかな。
(14)お礼状が届きました(6月27日追記)
四谷メディカルキューブから、アンケートのお礼状が届きました。細やかな心配りをされる病院ですね。
(15)術後1ヶ月経過(6月30日追記)
手術から1ヶ月経過しました。状況としては、6月19日の追記のときと全く変わりありません(健康そのものです)。
何を食べると下痢するのかな・・・まだ、自分でもちゃんと把握できていないのですが、決して固いものがダメというわけでもなく(アーモンドは全く問題なし)、かと言って柔らかいものが大丈夫なのかというとそうでもなく(モヤシはやや苦手・・・)、つまり、よく噛んで食べるかどうかという問題なのでしょうね。
現時点で分かっていることは、「速く食べる」「たくさん食べる」→下痢という方式です。
引き続きアルコールに対する興味は全くなく、6月は6回しかお酒を飲みませんでした。お酒が飲めないということは全くありません。出されれば飲みますし、単に自分から好んで飲まなくなったという感じです。これは、肉や卵についても同様です。嫌いになったわけではなく、好き好んで食べたくもないという感じです。ネットには、よく、胆嚢の摘出後は「脂っこいものが苦手になった」という記述がありますが、私の場合、そんなことは全くありません。ただ、好き好んでは食べたくないかな・・・でも、脂っこいものを食べても、全然下痢はしませんよ。
食生活は、完全に「植物性」へ移行しました。「野菜中心であとは魚、たまに肉」という感じで、比率で言うと野菜:魚:肉=6:3:1くらいです。
あと、納豆とヨーグルト、サラダを本当によく食べるようになりました。また、味噌汁も自分で作るようになりました。自宅で食事をする際には、必ず味噌汁に野菜をたっぷり入れて食べます。味噌汁の書籍も購入しました(笑)。それから、魚の刺身をよく食べるようになりました。毎日1回(多いときは2回)、必ず刺身を食べています。種類は、青魚が多いかな。カツオ、アジ、ぶり、イワシ・・・。糖質は控えめですが、ある程度取らないと体重が落ちてしまうので、少し取るようにはしています。
体重は65キロ台の前半まで落ちています。手術前と比べると、だいたい2キロくらいは減少しています。体重そのものを意識はしていないのですが、ちゃんと食べないと体重がどんどん落ちるので、頑張って食べるようにしています。体重がここまで落ちた記憶はないので、身体自体が新たな領域に入ってきているような気はします。
今後も、折を見て状況をお知らせするようにしますね。
(16)術後6ヶ月経過(12月6日追記)(完結)
術後半年も経過しますと、お酒に対する興味も普通に沸き、体重も意識しなければ増えるような状況になってきます。
サイトを色々と見ますと、「胆嚢を切除すると肝臓・小腸・胆管等が胆嚢の代わりを果たす」というような記述が見受けられますが、まさにそんな感じがします。
体重は、増えたり減ったりですが、術前に比べると少しコントロールしやすくなったかな(気持ち、増えにくくなった)という感じです。食べ物によっては下痢をしやすい印象もあるのですが、それ以上に、何とも普通の生活を送ることができていることに感謝です。
上手く表現できないのですが、医療技術の進歩に目を見張るとともに、昨今の医大入試の不祥事等も踏まえ、色々と思うところはあります。ただ、やはり、医療を受ける立場としては、少しでも日常生活で自衛の意識を持つ必要があるのではないかという風には思います。食べたいものを食べ、やりたいことをやり、生活習慣病になったら医者を頼るというのは、少し違うように思わなくもありません。
皆さん、ちゃんとしないとダメですよ^^。つまり、太り過ぎはダメってことです。痩せないと、手術も受けられませんから!!!
ところで、私自身、あと何年生きることができるのか・・・というのは、思わなくもありません。ただ、映像技術が進歩していますし、「私のやりたかったこと」というのは、後日、映像をご覧頂ければ十分に伝わるものばかりです。この辺が昔と違うところかもしれませんね。人が死んでも魂は死なずと言うか。私も、可能な限りの映像を、サイトに残しておきたいと思っています。
こちらのサイトをご覧になられた方は、私には興味などなく、胆嚢摘出の手術にしか興味はないという方が大半だと思います。でも、それはそれでよいのですよ。私が何かを失うわけではありませんから。こちらのサイトの記述が、少しでもご覧になられた方のお役に立てるようでしたら、これ以上の幸いはありません。
ということで、とりあえず今回の手術体験記はこれにてお終いです。読まれた方に何か少しでも参考になるようであれば、それはそれは嬉しい話です。
こちらの記事についてご質問のある方は、遠慮なくお知らせ下さい。私にできる範囲でお答えさせて頂きます。
連絡先は、こちら になります。
※ 私が言えるのは、梅澤先生は信頼できるお医者様だということ、四谷メディカルキューブはとても良い病院だということ、もう一度胆嚢を摘出する機会があったら(もうないけど)、やっぱりこの病院で手術をお願いするだろうな、ということです。
そうそう、看護師のK野さん、色々と無理を聴いて頂き、本当にありがとうございました。こちらで改めてお礼申し上げます(よもや読んでないと思うけど)。
あ、人間ドックも、ここで受けようかなと思ったりしています。
四谷メディカルキューブの人間ドックについては、こちら をご覧になって下さい。
***さらに追伸***(2022年3月20日記載)
こちらのブログ記事をご覧頂く方がすごく多くて、お礼のご連絡や質問もよく頂きます。参考になるかどうか分かりませんが、以下、Q&Aを載せておきます。なお、このブログの情報は全く私の個人的な感想ですので、何の責任も持てません(マジで)。正確な情報は病院の方に直接問い合わせてくださいね。
Q1:手術説明は家族同伴?
A1:私、野良犬のような生活をしておりまして、家族からは捨ておかれています(笑)。手術説明は私だけで受けました。
Q2:手術当日の立ち合いは?
A2:私、野良犬のような生活をしておりまして、家族からは捨ておかれています(笑)。手術当日の立ち合いはありませんでした(悲)。
Q3:通常、病室のベッドの頭のところには患者の名前、生年月日、性別、血
A3:すみません、全く覚えていません・・・。
Q4:病室にはIPadがあるようです
A4:IPadはありませんでした。正確には、あったのかもしれません
Q5:フリーWiFiはありますか?
A5:フリーのWiFiはないと思います。これも病院に尋ねたわけでも
Q6:こちらの病院は全個室で差額ベッド代が5千円とか3万円とか5万
A6:5000円の部屋しかないと思います。病室の写真をブログにアッ
Q7:退院日、井上様は電車で帰られたのですか?
A7:電車で1人で帰りました。ただ、荷物がすごく重く感じられる(と言うか
なお、今年(2022年)の2月に、私の家内が胆嚢の摘出手術を受けました。特に私が四谷メディカルキューブさんを勧めたわけではないのですが、人間ドック→精密検査を受けた病院から、「はい、梅澤先生に切って頂きましょうね」という感じで話が進みました。症例数をたくさんお持ちなのでしょう、信頼できる病院だと思います。しかし、夫婦そろって胆嚢摘出、しかも同じ先生にかかるとは・・・こんなこともあるのですね^^
なお、コロナだからでしょうね、お見舞いはダメ、手術当日も付き添い不可、退院の日の会計も、1階ではなく病室で会計を行っていました。
今になって思うのですが、胆嚢摘出と言うと昔は開腹手術で1週間以上の入院が普通だったところ、今は内視鏡で患者の負担もかなり小さくなっています。中でも、四谷メディカルキューブさんは2泊3日という小旅行のようなパッケージになっています。これ、恐らくですが、「手術の後はどんどん動け、体力を回復させてとっとと退院してね」という病院のポリシーなのではないかと思います。
果たして、2泊3日がよいかどうかは分かりませんが、術後の体力の回復を考えると、「人間は動物だったんだ」ということを思い起こさせてくれます。
※ 四谷メディカルキューブさんで胆嚢摘出を受けた方がいらっしゃいましたら、是非追記の情報をお知らせ下さい。別に私、四谷メディカルキューブさんの広報担当でも何でもないのですが、あまりにもこの記事の閲覧件数が多くて、ご質問やお礼の連絡を頻繁に頂きますので、可能であれば最新の情報をコチラにアップデートしていくと、今後閲覧される方のタメになるのかな、、、と思ったりしました。
本来であれば、そういったことは病院がすべきなのかもしれませんが、利用者側からすると「悪い情報なんて載せるわけないよね・・・」という風に勘ぐってしまうかもしれませんよね。でも、私、今になって思うのですが、梅澤先生は、毎日遅い時間に、チラっと病室を訪れてくれましたよ。それだけでも信頼できる先生だと、私は思います。私だけにそういったことをしているとは思えませんし、一方で、こういったことは、なかなか「先生」と呼ばれる立場の人ができることではないと思います。すごく苦しい思いをしてベッドで寝ている患者の立場からすると、凄く勇気付けられた記憶があったという点、改めて記載しておきます。